中国「南京大虐殺問題」大炎上から見えてきた“反習近平派”の勢力拡大

共産党内部は一枚岩ではない

文化大革命を彷彿とさせる事態に

12月13日はいわゆる「南京大虐殺」があったとされる日である。この追悼式典は習近平体制になってからの2014年に国家レベルに格上げされ、日本に対する敵愾心をさらに強化する形となった。こうしたこともあって、この12月13日頃には中国の学校ではこの事件について授業中に取り上げられることが一般的である。

そんな中で、昨年末、ちょっとした事件が勃発し、中国全土に拡散した。

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「南京大虐殺」では30万人の中国人が虐殺されたとされているが、この数字には裏付けできる証拠がないということを、上海震旦職業学院東方電影学院の女性教諭である宋庚一先生が授業中に述べたのである。彼女は、私たちは永遠に恨み続けるべきではなく、むしろ戦争がどのように起きるのかを反省することが最も大切だと指摘した。

まずは主観を傍に置いて事実を厳密に追う科学的態度の必要性を説き、いたずらに敵意を煽らず本質的な解決を目指すべきだという発言は、中国国内ということを考えると非常に勇気のいるものであり、大変立派な先生だと敬服する。

だがこの授業の様子は学生によって盗撮され、約5分の動画として中国のSNS「微博」に投稿された。そしてこの投稿を人民日報がわざわざ取り上げて宋先生を間違った中国人だと批判したのである。

学校はこの問題の調査チームを立ち上げ、彼女をすぐさま解雇した。ネットでも彼女への非難が殺到した。まさに紅衛兵が暴れ回った文化大革命を彷彿とさせる事態である。

 

そこへ、こうした動きに対して異論を唱える別の女性教師が現れた。湖南省湘西永順県郷村小学校の李田田先生である。李先生は密告的な行動を行った学生や宋先生を解雇した学校を非難する投稿を微博にアップした。さらにこの問題に声を上げようとしないメディアや知識階層に対しても批判の矛先を向けた。

彼女はこの一件で当局から脅迫され、妊娠中であるにもかかわらず精神病院に強制的に収容させられた。その後、世論の高まりによって釈放されたとはいえ、彼女は現在も厳しい監視下に置かれているという。

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