2022.01.08

「水死」したご遺体から“あるはずのない骨”が…火葬場職員が心底震えた瞬間

「最期の火を灯す者」無料公開
現代ビジネス編集部

「主人は絶対に溺れたりしません」

そこに“あるはずのないもの”とは――。

下駄さんがご遺骨を見ると、左足のスネの骨にかぶるように故人のものではない別人の手の骨のようなものが乗っていたのだ。

「故人の手の骨は両方とも骨盤の横にあったので、故人のものではないことは明らかでした」(下駄さん)

「最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常」より

下駄さんは目を疑った。他人の体を一緒に火葬するなどあり得ない。ましてや水死されたご遺体は必ず検死を受けているのでその段階で分かるはずだ。下駄さんは狼狽するが、不思議なことにご遺族の方々はご遺骨を見ても少しも動揺する様子がない。

(まさか…見えているのは僕だけなんじゃ…?)

その時、ご遺体の奥さんが震えながら下駄さんに訴えかけてきたという。

「主人は絶対に溺れたりしません。あの人は泳ぎは達者だったんです。あの人はきっとあの手に引きずり込まれて死んだんです」

下駄さんと同じものを女性も見ていたのだ。下駄さんは心底ぞっとした。…だが、この後、もう一度よく確認しようとしたところもうそれは消えていたのだという。

「角度によってそう見えたのか、はたまた単なる目の錯覚か。結局あれが何だったのか、何度思い起こしても、今でも謎のままなのです」(下駄さん)

人間は生まれたからには、みんな平等に死んで行く。けれども、その「死」には思いがけないことも起こり得る…。人生の最後に携わる人々の物語――今一度「生きること」や「命の尊さ」について考えてみるきっかけになるかもしれない。

 
下駄華緒/元火葬場職員。2018年、バンド「ぼくたちのいるところ。」のベーシストとしてユニバーサルミュージックよりデビュー。怪談最恐戦2019怪談最恐位。火葬場職員時代の経験を生かしたYouTubeチャンネル「火葬場奇談」が話題。Twitterアカウント⇒@geta_hanao
蓮古田二郎/千葉県在住。二児の父。背景は妻が担当。主な著書に「しあわせ団地」(講談社)がある

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