新型コロナショックは「国際金融危機」となるのか…世界を何度も襲ってきた「危機の正体」

世界的な金融危機はなぜ起きたのか? なぜ金融危機は10年に1度起こるのか? 新型コロナショックは新たな金融危機を引き起こすのか? 危機を何度も乗り越えたこの世界は、いったいどこに向かうのか?

財務省・IMF・世界銀行などで活躍された宮崎成人さんによる教養としての金融危機では、「100年間」に起きた「9つの危機」を「ストーリー」で一気に学ぶことを目指し、激動の世界史と時代の大転換点が見えてきます。

国際金融危機には「人間ドラマ」がある

日本には歴史の好きな方が数多くいます。しかし、「国際金融危機の歴史が好き」という方は少ないでしょう。それはとても残念なことです。なぜなら、過去100年間に世界経済の運命を変えかねなかった(あるいは本当に変えてしまった)危機を見ていくと、そこには「人間ドラマ」があるからです。

国際金融危機は人知を超えた出来事ではありません。多くの人間が感じる欲求や、良かれと思って下した判断の予期せぬ結果が積み重なったときに、思わぬ形で立ち上がってきます。

過去の危機のエピソードには、経済的な苦境に陥ってしまった方々の苦しみがある反面、危機の解決に粉骨砕身した人々の叡智と勇気も見て取れます。それらの人々の結集体である国と国の協力やライバル関係も重要な要素です。

残念ながら、すべての危機が思い通りの形で解決されたわけではありませんし、未来の危機をすべて未然に防ぐこともできません。そうした挫折も、人間ドラマの一部だと思います。

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加えて、国際金融危機の面白さ(と言っては語弊がありますが)は、ミステリー小説を読む楽しみに通じると思います。危機に至る経緯は、事件現場の状況証拠です。危機のトリガーを引くのは、いったい誰でしょうか?

為替レートか財政赤字か、インフレか金融セクターか、不良債権か土地バブルか、まさに犯人捜しの趣です。もし問題があるとすれば、犯人候補の数がそれほど多くなく、しかも毎回似たような候補者が出てくることです。ですから、本当のミステリーにはなり得ませんが、意外に早く犯人が見つかるので、満足度は高いと思います。