2022.01.09

「やたらと“エビデンス”を求める人」と「陰謀論にハマる人」、その意外な共通点

じつは両者は似ているのかもしれない…
松村 一志 プロフィール

「エビデンス」の序列化

ふつう「エビデンス」と言うと、確固たる「事実」のようなものを思い浮かべるかもしれない。しかし、「エビデンス・ベースト・メディシン」の言う「エビデンス」は、もっと柔軟である。「エビデンス」にも実は様々なタイプがあり、そこには「弱いエビデンス」から「強いエビデンス」までの階層がある。

古典的なモデルとしてよく言及されるのは、「エビデンス・ピラミッド」と呼ばれるものだ。それは、「エビデンス」の強さを上から順に1から6へと並べたものである。具体的な順番の決め方にはバリエーションもあるが、一般的には次のようなレベル分けがなされる(松村むつみ 2021: 35)。

エビデンスレベル1:ガイドライン・システマティックレビュー・メタアナリシス
エビデンスレベル2:ランダム化比較試験
エビデンスレベル3:非ランダム化比較試験
エビデンスレベル4:コホート研究・症例対照研究
エビデンスレベル5:症例報告、複数の症例報告
エビデンスレベル6:専門家の意見
それ以下:動物実験や試験管での研究
 

「動物実験や試験管での研究」を除けば、「エビデンスレベル」が最も低いのは「レベル6」の「専門家の意見」である。これは専門家の経験や理論的知識に基づく判断のことだが、往々にして実験データと乖離しているため、「エビデンスレベル」が低く見積もられている。

逆に、「エビデンスレベル」が高いのは「レベル2」の「ランダム化比較試験」(Randomized Controlled Trial: RCT)と呼ばれる実験だ。これは、研究対象をランダムに二つのグループに分け、治療の有無が結果の違いを生むかどうかを調べるものである。例えば、ワクチンを接種するグループとしないグループをランダムに分け、発症者数を比べる実験がこれに当たる。

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