2022.01.10
「じゃっかん19歳で…」の表記、「弱冠」「若干」どちらを使ってもヘン…かもしれません
「ジャッカン」、よく耳にするけど…
若くして偉業を達したスポーツ選手に対して「ジャッカン」という音を付けることがある。
ヤクルトの村上選手はジャッカン21歳にしてホームラン王となった。
ジャッカン19歳の橋本大輝選手が東京五輪体操で個人総合金メダルを獲得した。
たぶん、意味はない。調子で付けている。
だいたい「調子づけたいニュース」で使われている。
若いのにすごいな、という雰囲気を出すために使っているのだ。

本来は「わずか19歳で」といえばすむところを、カンジのジュクゴ風味のほうが盛り上がるかもと「ジャッカン19歳で」と言い換えられているだけである。
おそらく「ジャッカン」という音そのものが心地いいからだろう。
ただこういう使い方の場合、本来の「弱冠」とは関係がない。
「弱冠」の典拠を中国の古典に求め、「若干」や「若冠」と書くのは間違いであるという指摘を見かけることがあるが、いやはや、いやはや、うーん、うーん、どうなんだろう、とおもうばかりだ。
「若干19」が間違いで、「弱冠19」が合ってるか、というのはなかなかむずかしいところである。
同じくらいに間違っていると言えないか。
そういう話である。
「弱冠」の出典は『礼記』であるとされている。
『礼記』は、中国の典拠のなかでもかなり古いものなので、ここがおおもとと考えていいだろう。
『礼記』は、四書五経のひとつ。
四書五経は儒教の基本的な経典で、五経は古い根幹的なもので、四書のほうが新しく入門書的な書物である。
『礼記』は古いほう、五経の一つ。
入門の四書『論語』『大学』『中庸』『孟子』はいまでも日本の本屋ですぐに手に入るが(文庫化されている)、『礼記』はあまり売っていない。
ちなみに、ライキ、と発音する(いや、もちろんご存知だとはおもうが、念のため)。