かなり大部の書物で、ばらばらになったものを、長年かけて編纂しなおして伝わっている(キングダム嬴政がいろいろ燃しちゃったからねえ)。
文庫にはなってないが大きな本で出ている。明治書院のと集英社のが比較的近い時期の出版なので、その二書からあわせて引用していく。
「弱冠」という言葉は最初に出てくる。
『曲礼 上 第一』という冒頭に近い部分である。
『曲礼』は「曲礼に曰く、敬せざることなかれ」という文章から始まっている。
人はつねにうやうやしく慎むことを忘れてはいけない。
そのあと「礼」そのものの概念について書いている。
「それ礼なるものは、親疏を定め、嫌疑を決(わか)ち、同異を別ち、是非を明らかにするゆえんなり」が『礼記』の始まりである。
「礼」の狙い
『礼記』ができたのは、ものすごい昔で、日本でいえば弥生時代、ところによっては縄文時代のころで、あまりみんな文化的な生活をしていないころだ。
野蛮さが残る社会のみんなに「礼」という概念を大事にしてもらい、文化的で秩序正しい社会を作るというのが「儒者」の狙いである。
森に分けいってボノボの集団に入り込み、もうちょっと秩序だった心地いい共同体にしよう、として必死で「礼」を説いてる姿をおもいうかべればいいかもしれない。うかべなくてもいいけど。
隣にいるやつを殴りとばして食い物を奪って、その隣のも隣のも殴って奪いつづけるボノボ隊長に、もうちょっと他人のことや共同体のことを考えて行動しましょう、それが「礼」です、と教えていく仕事である。
「礼」の基本は、区別することである、と説いている。
親しいもの親しくないもの、同じもの異なっているもの、正しいもの間違っているもの。そういう区別から「礼」が始まる。
世界は分けることによって開始されるのだ。
それが礼の基本思想である。