2022.01.10

「じゃっかん19歳で…」の表記、「弱冠」「若干」どちらを使ってもヘン…かもしれません

堀井 憲一郎 プロフィール

男子の一生はどうあるべきか

続いて、男子の一生について述べられている。

人の一生も秩序立てて生きなければいけない。何となくだらだら生きているのはいけませんぞ、ということでしょう。

10年ごとに区切って、何をしなければいけないか、どういう筋道で生きるべきかを教えている。

原文で並べる。

人生十年曰幼学。二十曰弱冠。三十曰壮有室。四十曰強而仕。五十曰服官政。六十曰耆指使。七十曰老而傳。八十九十曰耄。七年曰悼。悼與耄雖有罪不加刑焉。百年曰期頤。

さすがに読みにくい。もうちょっとわかりやすく書いてみる。

「人生十年曰、幼。学」。人が生まれて十年を「幼」といい、学ぶ。
「二十曰、弱。冠」二十を「弱」という。冠する(=元服する。成人となる)
「三十曰、壮。有室」三十を「壮」という。室あり(=妻を迎える)
「四十曰、強。而仕」四十を「強」という。仕える(=仕官する。仕えて士となる)
「五十曰、。服官政」五十を「(がい)」という。官政に服する(=重要な官職政務を扱う)
「六十曰、耆。指使」六十を「耆(き)」という。指し使う(=多くの人を指揮する)
「七十曰、老。而傳」七十は「老」といって、すなわち傳える(=家事を子に伝える、ないしは、人に道を譲る)。
「八十九十曰、耄。」「七年曰、悼」「悼與耄、雖有罪、不加刑焉」八十、九十は「耄(もう)」といい、生まれて七年までは「悼(とう)」という。どちらも罪を犯しても刑は加えない。
「百年曰、期。頤」。百は「期(き)」という。頤(やしな)う(ねんごろに養い保護する)。

 

この「二十曰弱、冠」から「弱冠」が来ている。

日本古来の読み習わしは「二十を弱と言う。冠す」となっていて、弱冠はいわば略語である。パーティピーポーを略してパリピ、「二十歳を弱と呼び、冠をかぶる」を略して弱冠である。パリピのパリとピがもともと持っている意味が違うように、弱と冠の意味は違う。

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