2022.01.10

「じゃっかん19歳で…」の表記、「弱冠」「若干」どちらを使ってもヘン…かもしれません

堀井 憲一郎 プロフィール

弱にはいろんな可能性があるが、強はもう出来上がって固くなってる状態とも考えることができる。

たしかに20は弱で40は強だ。

 

「弱」はズラせない

20は弱冠。40は強仕。

もとは、10年ごとの通過ゲートの名前みたいなものだった。

広く読まれるようになって、それぞれの二文字が年齢の異称になった。

幼学は10歳のこと、弱冠は20歳、壮室30歳、強仕40歳、服50歳のことを表している。

10歳前後や20歳前後ではない。

ぴったり10が幼学、ぴったり20が弱冠である。

だから「弱冠」を年齢に紐付けするなら本来は「20歳のこと」しか表せない。

礼記の原典そのものが「冠」を20歳と限定してないのなら幅広く使っていいだろう、という解釈は、残念ながら論点がずれている。

20歳に固定されていないのは「冠」のほうである。冠するのは20歳でなくてもいい。

でも「弱」はズラせない。

「20歳のことを弱という」と明確に規定されているのだから、弱はジャスト20歳だけの呼び名である。

それ以外の年齢にあてはめられない。

だから「弱冠19歳」とは厳密には「20歳にして19歳」と言っていることになる。

「20歳にして19歳」で橋本大輝選手は金メダルを獲った。

そんな日本語はない。どこからどう見ても変である。それが「ジャッカン19歳」という言葉の本来の意味である。

でもみんな「ジャッカン」という音が好きなのだろう。それはわかる。「わずか19」ではなく「ジャッカン19」というと、なんか調子がいいというのもわかる。間違っているとおもうが、みんなで間違うなら、べつだん強くとめることはできない。

となると、「弱冠」という表記でなくていいんじゃないか。

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