「正月に太った」すべての人に医師が伝えたい「ダイエットの事実」

原理原則はたった1つ
世良 泰 プロフィール

まずはここから始めてみよう

ここまでダイエットや減量のシンプルな原則についてお話してきました。これは基本的に世界中どこでも変わらない原則です。しかし多くの人が分かっていても、なかなか実行できないのが正直なところかと思います。巷には多くの情報やダイエット方法などが溢れています。

結局何から始めればよいのかと皆さん思っているのではないでしょうか。そこで次の2つのことを今日から実践してほしいと思います。

(1)状況を把握する
行動を変えるにはまず状況を把握する必要があります。普段皆さんがどのようなものを食べたり飲んだりしているのか、どのくらい運動をしているのかを考えてみましょう。ちなみに運動というと、着替えてジョギングして、などをイメージされますが、通勤や通学で階段を上り下りしたり、犬の散歩をしたり、掃除機をかけたりすることでも身体を動かしています。

そのため学術的には、運動ではなく身体活動、と表現されるようになってきました。写真を撮ったりアプリで記録できたりすれば理想的かもしれませんが、そこまで神経質に行う必要はないと思います。なぜなら一番よくわかっているのは自分自身だからです。記録することが目的になってはいけません。

(2)摂取・消費カロリーを考える
次に減らせる摂取カロリーや増やせる消費カロリーがあるかを考えましょう。例えばコンビニに売っているチキンは約250kcalの物がありますが、これを普段より少し早歩きで散歩して消費しようとすると1時間になります(体重や速度によって大きく変わりますのであくまで一例です)。もちろん「食べた分運動で取り返す!」でも良いのですが、忙しい生活の中で1時間散歩は現実的でないかもしれません。

その場合には、もっとカロリーの低いものに変える、毎日だったのを2日に1回にするといったことなどで摂取カロリーを減らす方法があります。消費カロリーを増やすことについては、エスカレーターを階段にする、一駅前で降りて歩いてみる、など意識的に身体を動かす方法があります。

楽しいことを我慢して頑張るという方法もありますが、人間楽しいことや楽なことに流されやすいと思います。その中で、摂取カロリーと消費カロリーの関係を理解し、ほんの少しだけ行動を変えることで、将来だけでなく明日の健康にも繋がります。

食事や運動は他の誰でもない自分自身が行うことですので、早速今日から少しだけ健康のことを考えてみてはいかがでしょうか。

【註釈】
1.Zheng Y, Manson JE, Yuan C, Liang MH, Grodstein F, Stampfer MJ, et al. Associations of Weight Gain From Early to Middle Adulthood With Major Health Outcomes Later in Life. Jama. 2017;318(3):255-69.

2.谷本 芳, 渡辺 美, 河野 令, 広田 千, 高崎 恭, 河野 公. 日本人筋肉量の加齢による特徴. 日本老年医学会雑誌. 2010;47(1):52-7.
 

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