
「気象レーダー」白いドームの中には何がある? 何を、どうやって測ってる?
今も進化中!気象観測「三種の神器」電波から得られる3つの情報
1. エコーの往復時間──目標物(降水粒子・雨雲)までの距離を知る
電波は光速(1秒間に約30 万km)で進むので、レーダーが電波を発射してから戻ってくるまでの時間に光速をかけて2で割ると目標物までの距離が得られます。
しかし、電波を連続的に発射すると、戻ってくる電波も連続的となり、発射してから戻ってくるまでの時間を測定できず、目標物までの距離がわかりません。
そこで、数マイクロ秒の時間間隔で電波を断続的に(パルスとして)発射し、電波の発射を休止している間に目標物から戻ってきた電波を受信して時間をはかり、目標物(降水粒子・雨雲)までの距離を割り出しています。
2. エコーの強さ──降水粒子の大きさ・数を知る
エコーの強さは、発射する電波の強さと電波の経路上に存在する目標物(雨粒など)の大きさと数によって決まるので、反射信号を処理して、降水の分布および降水強度(単位時間あたりの降水量)を求めることができます。
ただし、こうして求めた降水強度は、雨量計で求めた降水強度と対応しないことが多いため、雨量計の実測値をもとにレーダーから得られた降水強度を補正しています。
3. エコーの位相──降水粒子の奥行き方向の速度を知る
電波は波なので、振幅に山や谷があり、その位置を「位相」といいます。目標物が動いている場合、ドップラー効果により位相の位置が変化するので、これをとらえて解析することにより、物体の移動速度を求めることができます。この機能を備えた気象レーダーを「ドップラー気象レーダー」と呼び、全国に展開されています。

全国ネットワークでシームレスな画像
現在、全国20か所の気象レーダーの画像は、気象庁にある「観測運用室」に気象庁が利用している通信網を通じて電送され、そこで各レーダーサイトの画像を合成して、つなぎ目が見えない、いわゆるシームレスな画像が全国規模で作成されており、一般にレーダー画像と呼ばれています。
また、気象レーダーの画像は、前述の「アメダス」の降水データなどにより校正され、テレビで毎日のように見られる雨の状況の画像として発表されています。
