そのため、普段は意識せずに『カムカムエヴリバディ』を楽しんで観ていますが、ふと、凄まじいなと思わずにはいられない瞬間があるのです。18歳の清廉な少女を演じているのが、20年以上前に自分がハマッていたドラマで、強気でかっこいい大人の女性を演じていた女優だという事実を冷静に思い出すと、つい『ガラスの仮面』よろしく「おそろしい子!」と感嘆してしまいます。
1代目ヒロイン・上白石さんと3代目ヒロイン・川栄さんもすでに実績のある実力派ですが、『カムカムエヴリバディ』では3000人以上のオーディションから選ばれています。そんななか、深津さんだけは、プロデューサーが直々に手紙を送り、オファーして口説き落としたのだそうです。
おそらく、るいを演じるにあたり必要なファクターは、10代の少女から母親になるまでを演じられる透明感があり、さらに強さと儚さを内に共存させていること。
また、メタ的な視点で『カムカムエヴリバディ』をとらえたとき、中軸を担う2代目ヒロインに骨太な女優が欠かせなかったのではないでしょうか。
上白石さんも川栄さんも演技巧者ですが、朝ドラ初のトリプルヒロインというチャレンジングな試みを失敗させないための、若い役者2人の時代を繋ぐ適任者は彼女以外に考えられない――るいを演じる深津さんを見ると、そう思わずにはいられないのです。