2022.01.13
# 週刊現代

プロに聞いた、”タラバガニ”と”毛ガニ”の、おいしい「食べ方」と「見分け方」

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カニの部位

またタラバガニにはユニークな特徴がある。タラバのハサミは必ず左より右が大きく、よく動く。右ハサミは「親爪」と呼ばれ、身がしまって最も旨味があるとされているのだ。

「興味深いことに、タラバをはじめ北の海に棲息するヤドカリ類は右のハサミが大きいのですが、相模湾を境として、それより南は左のハサミが大きいのです」(武田氏)

ちなみにカニみそについての誤解にも触れておこう。多くの人が「みそ」という言葉に惑わされて、カニの脳みそだと思っているが、カニみそは中腸腺といい、人間の肝臓と膵臓にあたる。グリコーゲンやミネラルが詰まって栄養満点だ。

甲羅の堅さで選ぶ

価格高騰にも負けず、やはりカニが食べたい!と思った人もいるだろう。遠出が憚られる昨今、市場などで美味しい個体を見分ける方法はあるのだろうか。「越前がにミュージアム」主任研究員の大間憲之氏が言う。

 

「カニは脱皮を繰り返して成長していく生物です。たとえばズワイガニなら雄の場合10年かけて平均12回、雌は10回脱皮をくりかえします。

脱皮は非常にエネルギーを使うので、直後は甲羅がやわらかく身がスカスカしています。最後の脱皮を終えてから甲羅が堅くなり、エサを食べて身がつき肉が引き締まったものが美味しいのです」

カニの甲羅にブツブツと黒いものがついているのを見たことがあるだろう。あれは深海に住むカニビルというヒルの卵で人体には無害だ。脱皮して日が浅い個体にはカニビルがついていないので、ずっしりとした身肉を楽しみたいなら甲羅が堅く、カニビルの多くついた個体を購入しよう。

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