台湾が、豊かさで日本に追いつき、追い抜こうとしている。
この背後には、HSMCをはじめとするハイテク企業の著しい躍進がある。台湾は、アップルなどアメリカIT企業から半導体などの製造を受託し、その製品を中国に輸出して安い労働力を用いて組み立てを行ない、それをアメリカなどに輸出している。台湾は、IT革命と中国工業化を巧みに利用して成長を遂げたのだ。
台湾が日本に追いつく
図表1をご覧いただきたい。これは日本とアメリカ、台湾につき、1人当たりGDPの推移を示したものだ。台湾が急速に日本に追いついてきていることがわかる。
2000年において、台湾の1人当たりGDPは1.48万ドルであり、日本の3.92万ドルの約3分の1でしかなかった。ところが、2021年には台湾の1人当たりGDPは3.34万ドルになっている。これは、すでに日本の4.07万ドルの82%だ。
2000年から2021年までの増加率は、日本が3.9%でしかないのに対して、台湾は125.0%だった。成長率にこのような大きな差があるので、いずれ台湾の1人当たりGDPは、日本を超えるだろう。つまり、台湾は日本より豊かな国になっていくだろう。
■図表1 日本、アメリカ、台湾1人あたりのGDP(ドル)
