シリコンバレーの企業との分業体制
TSMCが製造している半導体は、 iPhoneなどのスマートフォンの頭脳になっている。アップルだけではない。エヌビディア、クアルコム、ブロードコムなどのアメリカの最先端企業が、半導体の製造をTSMCに委託している。
これらアメリカ企業は、半導体の設計を行なう企業だ。したがって、工場を持たない。こうした企業は、「ファブレス」と呼ばれる。
これらファブレス企業が設計した半導体の製造を、TSMCなどの「ファウンドリ」が受託して製造するのだ。このように、台湾企業とシリコンバレーの企業との間で、水平分業体制が確立されている。
台湾のファウンドリーは、TSMCだけではない。売上高が世界第3位のUMC(聯華電子)、第6位のPowerchip Technologyなどもある。TSMCとUMC、Powerchip Technologyの売上高を合計すると、世界のファウンドリ総売上高の6割以上を占める。
さらに、液晶の友達光電(AUO)や群創光電(Innolux)、受託製造の鴻海精密工業(Honghai)、広達電脳(Quanta)、仁寶電脳(Compal)などがある。
スイスのビジネススクールIMDが2021年10月に公表した2021年の「世界デジタル競争力ランキング」で、台湾は世界第8位となった。
なお、1位はアメリカ、韓国が12位で、中国が15位だった。日本は28位だ。日本と台湾の差は、いかんともしがたいまでに開いてしまった。