中国の工業化を巧みに利用しで成長
半導体や液晶は台湾で製造され、中国に輸出される。そして、台湾のEMS(electronics manufacturing service:受託製造)企業の中国工場において、スマートフォンやノートパソコンなどの最終製品として組み立てられ、中国から欧米の市場に輸出される。
このように、「アメリカのIT企業が半導体を設計し、それを台湾のEMS企業が受託し、中国の工場で組み立てを行う。それをアメリカなどに輸出する」という国際的サプライチェーンが形成されているわけだ。
つまり、台湾は、中国の工業化とアメリカのIT革命という2つの大きな変化に、見事に対応し、それを巧みに利用することによって成長してきたことになる。
以上で見たような貿易構造を背景として、台湾では、製造業の比率が高い。これは一見したところ、情報関連産業の比率が高まる世界的な傾向に逆行しているように見える。
しかし、製造業といっても、製造している製品も、そのビジネスモデルも、従来型の製造業とは大きく違うことに注意が必要だ。生産しているのは高性能半導体という極めて高い技術を要する製品であり、ビジネスモデルも、垂直統合ではなく、アメリカ・中国との間で水平分業を実現する形になっている。