2022.01.18
# 年金 # 節約

年金を「75歳」から繰り下げ受給すると、逆に「大損」するかもしれないワケ

税金や医療費のこと、考えていますか?
森永 卓郎 プロフィール

「年金13万円時代」になった場合

一方、30年後に夫婦の年金月額が13万円となる時代は、夫の年金月額は9万3000円となる。年収で111万6000円だから、所得税や住民税は一切かからない。税・社会保険料負担比率も8.0%にとどまる。

そして、75歳から受給開始を選んでも、税・社会保険料負担比率は11.7%と、それほど高いレベルにはならない。それでも、生涯の年金手取り額は、65歳受給開始が2054万円に対して75歳受給開始は1814万円となるから、年金受給開始を10年繰り下げると240万円減少してしまう。

また表では、健康保険料を一律に国民健康保険の保険料で計算しているが、実際には、75歳からは、後期高齢者医療制度が適用される。後期高齢者医療制度のほうが、所得による累進性が大きい。

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後期高齢者医療制度では、将来年金の111万6000円の場合のように、課税所得がゼロとなる場合は、後期高齢者医療の保険料の所得割はかからず、年額4万4100円の均等割も最大の7割軽減が適用される(東京都世田谷区の場合)。そのため、年間の医療保険負担はたった1万3200円で済むのだ。

ところが75歳からの年金受給開始を選ぶと、年金月額が84%増え、所得税と住民税がかかってくる。医療保険の所得割もかかるようになり、減免もなくなるから、医療保険の負担は7倍近くになってしまうのだ。

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