新型コロナショックは世界中の経済活動をストップさせ、貧困問題を深刻化させました。具体的にどのような事態なのか。『教養としての金融危機』著者が新型コロナと貧困問題の関係を解説します。
新型コロナ危機と貧困問題
パンデミックによる世界的な経済活動の減速で、貧困率の再上昇は避けられません。
世界銀行の試算では、2020年に世界の貧困人口は8000万人ほど増えて7億3000万人程度となってしまったようです。
これは概ね2015年頃の水準ですので、貧困削減の進展が約5年分逆行したことになります。
貧困は人道上の考慮は当然として、経済的・社会的な分断を悪化させ、世界経済を不安定化させる潜在的な要因です。
新型コロナ対策の面では、先進国からのワクチン供給や医療体制支援等、十分とはいえないまでも一定の努力が続けられています。
しかし先進国自体が、自国の新型コロナ対策に忙殺されている中では、財源の捻出は簡単ではないかもしれません。