習近平とプーチンが、台湾とウクライナで起こしうる「最悪のシナリオ」

もはやアメリカも止められない
長谷川 幸洋 プロフィール

NATOとロシアは物別れに

ウクライナ問題をめぐって、ロシアと米国、欧州の緊張が続いている。1月12日にはロシアと北大西洋条約機構(NATO)の協議が開かれたが、打開策を見いだせないまま、終わった。このままなら、時間切れで「最悪の事態」に突入する懸念も強まっている。

ブリュッセルのNATO本部で開かれた12日の協議で、ロシア側はNATOの拡大に反対し、ロシアと国境を接する国からのNATO軍の撤退、ウクライナが将来もNATOに加盟しない確約を求めた。NATO側はこれを拒否し、物別れになった。

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、協議後の会見で「双方が対話を再開し、将来の会合の日程を検討する必要性を表明した」と述べたものの「ロシア側は今日、次の会合について合意する用意はない、と明確に述べた」と釘を刺した。

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長[Photo by gettyimages]
 

13日には、ウィーンでウクライナも含めた欧州安保協力会議(OSCE)の会議が開かれるが、これは57カ国が参加する大使級レベルの会議で、大きな進展は期待できない。ロシアと米欧の交渉は実質的に「12日でひとまず終了した」とみていい。

ストルテンベルグ事務総長が示唆したように、ロシアが交渉を継続するかどうかは、ひとえにウラジーミル・プーチン大統領の胸先三寸にかかっている。米欧には「米欧が妥協しなかったことを口実に、ロシアはウクライナへの武力侵攻を決断するのではないか」という悲観論もある。

1月8日付のニューヨーク・タイムズによれば、米国はロシアが武力侵攻した場合、ロシアを国際金融取引の銀行間ネットワークシステムであるSWIFTから締め出すとともに、軍事用か民生用かを問わず米国製品のロシア向け輸出の禁止、さらにはウクライナ国内の反ロシア勢力に対する武器供与などを検討している、という。

米国は「SWIFTからの締め出しはロシア経済に大きな打撃になる」と期待しているが、専門家の中には「ロシアは中国の支援を受けるので、さほどダメージは受けない」という見方もある。いずれにせよ、ロシアが予想される経済制裁に備えているのは、間違いない。

バイデン米大統領[Photo by gettyimages]

私は、経済制裁が武力侵攻の抑止に大きな効果を発揮するとは思えない。2014年のクリミア侵攻では、当時のバラク・オバマ政権が経済制裁を課したが、ロシアに大きな打撃を与えられなかった。今回は「その反省を踏まえている」と言われるが、それでも、中ロが協力すれば、乗り越えてしまうだろう。

 
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