2022.01.17
# ロシア

カザフスタン騒乱は結局、前大統領の国家私物化親族の謀略だった

周縁不安定化はプーチンに吉か凶か
河東 哲夫 プロフィール

後始末は始まったのか

14日現在、ナザルバエフ、そして甥たちの去就については情報がない。消えている。ダリガは「コロナに感染して自宅療養中」との報道が12日に出た。トカエフ大統領は11日の議会演説で、「今回の事件は長年準備されてきた破壊活動である。国家保安委員会は、危険なことが国内で進行しているのに反応しようとしなかった」と述べ、マシモフが破壊活動を幇助したことを示唆している。

トカエフ大統領は、破壊活動を準備してきたのが誰かは言わなかったが、11日議会演説では(ナザルバエフの親族が差配する)国家資産委員会や開発銀行の財務を徹底的に掃除する、と言っている。

 

そして彼は、今回の騒動をイスラム過激派の介入だとすることで、「これはカザフスタンの天安門事件だ(公称で160名以上が死んでいる。警官・軍人側の死亡はわずかである)」と非難する国際社会の理解を取り付けようとしている。

なおこれまでは、カザフスタンでこういうデモ、暴動が起きるとすぐ、「これはナザルバエフ政権に逆らって国外に逃亡している銀行家アブリャーゾフの差し金だ」ということが言われ、実際にそうであったことも多いのだが、今回は彼は自分の関与を否定している。

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