中学受験、高校受験、大学受験と、さまざまな受験が本番を迎えている。親は子どもたちの将来を思い、「いい学校」に入ることを望む。また子どもたちもそれに答えるために必死に勉強をし、その成果を出そうとする。その過程で、熱心さのあまり子どもに過度なプレッシャーを与えてしまい、何らかの形で事件が起きてしまうことがある。−ー今回はそういった親たちの熱意が、結果として“虐待”になり、事件につながってしまうケースについての考察と、そうならないよう気をつけるべきポイントについて、明治大学教授であり、心理学者の諸富祥彦さんに教えていただいた。

「教育虐待」とは?

みなさんは、「教育虐待」という言葉をご存知でしょうか。

「虐待」というと、子どもに暴力をはたらき続けて死に至らせるケース(身体的虐待)や、「死ね」「お前なんか生まなきゃ良かった」と言葉でなじり続けるケース(心理的虐待)が思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか?

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「子どものからだに暴力をふるい続ける」「言葉で心理的に追い詰める」――この二つが虐待の中心です。それに加えて、父親が娘に性的な行為を要求し抵抗できなくする、といったケース(性的虐待)や、子どもをきちんと養育せず放置してしまう(ネグレクト)もよく見られます。

今回のテーマである「教育虐待」は、それが子どもを精神的に追い詰める「虐待」でありながら、それに「気づきにくい」「自分がしていることが虐待であるという自覚を持ちにくい」のが、大きな特徴です。

親が教育熱心であり、子どもの将来を考えて「よい学校へ」「よい進路へ」導こうとしすぎている。これが行き過ぎると、子どもを追い詰める。これが教育虐待なのです。