2022.01.28

依存症は脳の働き「報酬系」の変化——ではきっかけとなる最初の報酬は?

誰でも嬉しい「人とつながれる!」喜び

依存という言葉にネガティブなイメージを持っている人は多いのではないでしょうか? 「自立できていない」、「頼ってばかりいる」、「迷惑をかけるのでは?」……。

しかし、必ずしも"依存=悪"ではありません。そもそも人は何かに依存しないではいられない生きものです。過度な依存は、依存症と診断されますが、日常生活でさまざまな物質や娯楽、身近な人とのつながりに頼ることはよくあることですし、アルコールやパチンコ、ゲームはもちろん、意外にも麻薬や覚醒剤でさえ、必ずしも依存症をもたらすわけではありません。

では、依存症とはどういう病気なのでしょうか? 依存症を引き起こすメカニズムや対処法について、精神科医の松本俊彦さんが監修した『依存症がわかる本』からご紹介しましょう。

依存に「よい」「悪い」なんか……ある!

息抜きにタバコを吸い、カフェイン飲料やアルコールを飲む、寝る間を惜しんでスマホを使う、身近な人に愚痴を言う……。

いずれも依存的な行動ではありますが、気持ちを切り替え、仕事や勉強のパフォーマンスを維持するために役立っているなら、ただちに悪いものとはいえません。依存は依存でも、「よい依存」と考えてよいでしょう。

仕事や勉強、家庭の切り盛りなど、生活していくうえで誰しも「これがあるからなんとかやっていける」というものがあるのではないでしょうか? 悩みを聞いてくれる人だったり、周囲の評価や賞賛が原動力になっているという人もいるでしょう。

【写真】だれかやなにかに少しだけ自分を預け、支えててもらっているみんな、誰かや何かに少しだけ自分を預け、支えててもらっている photo by gettyimages

誰かや何かに少しだけ自分を預け、支えてもらっている状態、見方によってはこれも「依存」といえますが、いろいろな形で少しづつ支えてもらうことで、人はなんとか生きているものだ、といえるでしょう。

「悪い依存」ととらえるべき目安は?

ただし、「それ」だけに一点集中し、生活のバランスも心のバランスもとりにくくなっているのなら、「よい依存」とはいえません。「悪い依存」になってしまっているといえます。

頼りにするものがあること自体が悪いわけではありません。しかし、なんでも「それ」だけで、やりすごそうとすると「悪い依存」に転じやすくなります。

たとえば、「それ」に没頭することで気分が大きく変化したり、繰り返すうちに程度がエスカレートして、適切な範囲を明らかに超えている状態

また、対象のものや行為に対する強い欲求が生じ、やめようと思っても自分ではコントロールがきかない状態

さらに、その対象が最優先の生活になると、本来の自分の仕事に支障をきたしたり、周囲の人を巻き込むトラブルを生じるなど、生活にマイナスの影響が生じている状態

こうした状態が見られる場合は、「悪い依存」と考えられます。本人は、生活上の問題は「たまたま」生じたことであり、自分を支えてくれる「それ」のせいではないと思っているかもしれません。しかし、つぎにあげるような、依存症が疑われる場合の具体的なサインが見られる場合は、依存症として対応していく必要があります。

「悪い依存」に陥っている? 要注意サイン

  • □ 遅刻・欠勤をくり返している
  • □ 家族との関係が悪化している
  • □ 暴力や借金などを重ね、トラブルになっている
  • □ ひんぱんに事故を起こしている
  • □ 健康状態が悪化している

こうした「悪い依存」は、心身両面に変化をもたらします。医学的に依存症と診断される状態になっているおそれもあり、しっかりと対応していく必要があります。

それでは、医学的にいう依存症とはどのような状態のことを示すのでしょうか? 

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