「にしおかぁ~すみこだよっ」SMの女王様スタイルでの漫談で人気を博し、現在は髪をバッサリショートカットにしたにしおかすみこさん連載「ポンコツ一家」。認知症の母、ダウン症の姉、酔っぱらいの父と同居を始めたときから赤裸々に綴り、「壮絶」「他人事ではない」「大変なのに笑える」と多くの支持を集めている。

連載5回目は2020年、母の認知症がわかって初めての大晦日のこと。前編では、大晦日当日、掃除や料理に忙しくしている中、お姉さんが自分の部屋で大きいほうのお漏らしをしてしまったところまでをお伝えした。さらに母親がそのパンツを振り回したことで阿鼻叫喚の騒ぎに……はたしてにしおかさんはその後どうしたのだろうか。

姉が「掃除」して…

居間をまたぎ二階に上がった。
姉がフローリングワイパーの柄を持ちシートをつけずに床を拭いていた。
掃除していた。
……ただ、それでは床全面にコーティングされてゆく。

シートがないフローリングのワイパーで掃除したら…Photo by iStock

「いいから!」姉から柄を奪いとり「出てって! 黙れ!」と言った。

「すみちゃん、あのね、わたしまだ何にも言ってないよ」と。

「うるさい!」と。姉も、姉に声をあらげた罪悪感も全部部屋から追い出した。

強烈に臭い。ここは昨日掃除したばかりなのに。
靴を履き雨具を着た。後で全部脱ぎ捨てよう。窓を開ける。手袋をし、雑巾、除菌剤、アルコールあらゆるもので排除した。床と床の隙間、木目調の部分は歯ブラシでこすった。

私は、姉の風呂問題にはほぼノータッチだ。だから後ろめたい。
でもこれは言っておこうと下に降りる。

「老老介護はしんどいんだよ。今すぐじゃなくても、お姉ちゃんを施設に預けるとか、プロの人に入ってもらわないと。みんな共倒れになるよ!」と。母のことで手いっぱいの私は、それを言い訳に姉のケア知識はもっと何も知らない。それでも外の助けが必要だろうと思う。

母が言う。
「鬼が! うちの大事な子を何で施設なんだ! 悪魔が! 東京行ったらこんな冷たい人間になった。人じゃないよ!鬼! 鬼!」

父も言った「すみ、そんなこというもんじゃない、パパが全部面倒見るから」

「おまえは自分の面倒も見れないだろう! おまえの出来ることってなんだ!!」

姉が私を見ている。
「全部おまえのせいだからな!」と吐き捨てた。

家を飛び出した。
もう知らない。もう嫌だ。