ドラマ「二月の勝者-絶対合格の教室-」(日本テレビ系)は昨年10月から放送され、スーパー塾講師・黒木蔵人を演じた柳楽優弥さんをはじめ、子役や保護者役のリアルさに注目が集まった。高瀬志帆さんの原作漫画は連載が続き、リアルな中学受験も東京都の2月入試本番に向け、前受けや心身の健康管理など、緊張の日々が続く。
柳楽優弥さんのインタビュー記事への反響から始まったこの連載では、「課金ゲーム」「大学系列校」「鉄道オタク」「帰国生」「御三家」「地方での受験」「塾の合格実績」「無料塾」「小6ママの震え」「個別指導と集団塾の併用」といった体験談を紹介。今回は、ドラマでジャニーズJr.の羽村仁成さんが演じた「島津くん」も開成中と併願していた、「東京都立の中高一貫校」について。通常の中学受験は4年生の春から始めることが多いというが、わずか1年間の塾通いで、都立中高一貫校に合格したIさんご本人に伺った。
充実した教育、安い学費
『二月の勝者』の物語で、東京の私立中高一貫校「御三家」のトップ・開成を目指す島津くんは、家庭の不和により、私立の学費を払うのが厳しい状況になる。そんな時、併願校に考えたのが東京都立中高一貫校のトップ・小石川だ。一学年が160人程度と、私立の御三家に比べて少人数ながら、2021年度は現役で18人が東大に合格した。
1999年施行の改正学校教育法により、公立校でも中高一貫教育が可能になった。入試は「適性検査」が行われ、作文や、教科を横断した難問が多い。充実した教育内容で学費が安く、男女共学だ。都立中高一貫校の人気は続いていて、2021年度の入試(10校)は、一般枠の募集計1455人に対して計7461人が応募し、平均倍率は5.13倍だった。
遅かった塾通いスタート
東京都内に住むIさんは、都立中高一貫校に通っている。志望のきっかけは、自ら勉強していた英語が得意なことだった。小4の頃から、公文で英語だけ習っていた。「英語は、中学校で初めて勉強する科目。もし近くの公立中に進んでも、勉強していれば役立つのでは」と思った。母の勧めもあり、ラジオの英会話や英検の勉強をしてどんどん進み、小5の時に英検準2級に合格した。

「英語に力を入れている都立中高一貫校に行きたい、と思うようになりました。学校では中学受験をする子が多く、30人のクラスで、10人以上は塾に通っていました」
どうしても都立中高一貫校を受けたくて、小5の2月に大手塾の都立対策のコースに入った。平日と土日合わせて、週に3日ほど通った。毎月、都立中高一貫校対策の模試を受けた。入試である「適性検査」について、Iさんに説明してもらった。
「適性検査の場合は『受検』といいます。入試の範囲は、小学校で習うもの。ほとんどが、文章で理論的に説明する、記述問題です。適性検査1 は国語で作文。2は算数・理科・社会。学校によっては3の算数があります。入試対策の途中までは、私立対策と同じで基礎固めが必要でした」
それから作文を書く練習をしたり、過去問を解いたり。Iさんは私立中の受験勉強をしていなかったため、先入観がなく、適性検査の対策に、すぐになじめた。