ここでは、アクティビズム2.0の現状、彼らの動きを投資の参考にする手法、そして、彼らの動きを参考にしたうえでの現在の推奨銘柄などをご紹介していきます。
アベノミクスというキッカケ
さて、前述の通り、2000年代初頭の「第一次アクティビズム」は、リーマンショックとともに終焉を迎えました。それからしばらく日本経済は低迷を続けることとなります。
そこに変化が起きたのが2012年、第二次安倍内閣が発足したときでした。アクティビストにとって重要な変化が起きたのです。
安倍政権は「アベノミクス」の一環として、停滞する日本企業の生産性を上げ、グローバル競争に打ち勝って価値を創出し、国内に富を還流させるために企業の収益力を強化することを求めました。それが実現すれば、株式時価総額が増大するだけでなく、雇用機会の拡大、賃金の上昇、税収の自然増、増配等の好循環が期待できると想定していたのです。そこでは基本的に、国内外の投資家に日本企業を評価してもらい、日本株を買い増してもらうことが目的とされていました。
そのためにまず上場企業に対して、最低でもグローバル水準の「ROE(自己資本利益率)8%」を稼ぐことを目標にせよという指針を出しました。さらに、「コーポレートガバナンス・コード」を制定し、ガバナンス強化を後押しする規則が設けました。上場企業のあるべき姿を策定し、企業経営者に望ましい行動規範を示すことにしたのです。
ちなみに企業に自律を求めるコーポレートガバナンス・コードには、(1)株主の権利・平等性の確保、(2)株主以外のステークホルダーとの適切な協働、(3)適切な情報開示と透明性の確保、(4)取締役会等の責務、(5)株主との対話という5つの原則があります。