つまり、アクティビストのなかには、敢えて声を発せず、「物言わない投資家」として、黙々と「超割安」のまま放置されているキャッシュリッチ銘柄を安値で買い続け、数年間をかけていつのまにか筆頭株主になり、無言のまま会社のマジョリティを獲ろうと画策しているアクティビストも存在します。
ここ最近の四季報を見ると大株主に随分と横文字が増えたと感じる向きは多いと思います。こうした例のなかには、アクティビストが複数相乗りして株を購入している例も少なくありません。
しかしターゲット企業側は、そうした現実にも危機感を持っていません。株を買ってくれているのは、「無言で優しい大株主」だと信じて疑いませんが、私から言えば、あたかも体内に巣食ったウィルスが、音もたてずに徐々に増殖していき、やがては全身を蝕んでしまうように、ゆっくりゆっくりと企業を変えていくようにしか見えないのです。
数年間をかけて株を保有し続ければ、かつてのように「濫用的買収者」のレッテルも貼られることはないでしょうし、想像を絶する地殻変動が起きると断言します。
足元で起きている変化
実際に変化は起きています。実際につい最近も、香港のアクティビストのオアシスHDが東京ドームへのTOBによって5割以上の利益をいとも簡単に上げています。
また、これまでは株主総会においてアクティビストの提出する株主提案はほぼ確実に否決される一方で、企業側が提出する議案については予定調和的に可決されるというのが常でしたが、昨年の株主総会では大きな変化が見え始めてきました。
無論、ほとんどの議案はこれまで通り可決されてはいるのですが、上場企業について、企業側が提出した議案のうち「賛成率」で50%台が約30議案、60%台が約70議案とかなり肉薄してきているのものが増えてきているのです。