あなたの生命を支える機能「オートファジー」細胞自らが栄養を供給!

優秀とは言え、過度の期待はいけません
吉森 保 プロフィール

1つめは「飢餓状態のときの栄養源確保」

オートファジーは、飢餓状態にしたラットの肝臓の細胞の観察から発見された。そのため、オートファジーには自己を食べることで栄養を得るという役割があるのではないかと、発見当初から推測されていた。その推測は正しく、栄養源の確保は、酵母からヒトまですべての真核生物に共通したオートファジーの最も基本的な機能であることが、今では明らかになっている。

【図(チャート)】オートファジーの過程オートファジーの過程。栄養源の確保に働く場合は、例えばタンパク質の分解産物であるアミノ酸が栄養として利用される figure by gettyimages

オートファジーによる栄養源の確保は、特に酵母のような単細胞生物では重要である。

単細胞生物の場合、1個しかない細胞の中に栄養をたくさん蓄えておくことはできない。そのため周りから栄養を取り入れ続ける必要があり、栄養の枯渇は命に関わる。だから周りから栄養を取り入れることができなくなると、オートファジーによって細胞の成分を分解して栄養源を確保するのだ。

タンパク質を分解すると、アミノ酸になる。そのアミノ酸をエネルギー源として使ったり、アミノ酸を材料にして生存に不可欠なタンパク質をつくったりする。細胞の成分を分解して得られる栄養源には限りがあるものの、例えば酵母の場合は、飢餓状態で何十日も生き延びることができる。そうして周りの栄養状態がよくなるのを待つのだ。

空腹になったタコは、自分の足を食べるという話がある。足が何本かなくなっても死んでしまうよりましだと、自分の一部を食べて生き延びるというのだ。オートファジーによる栄養源の確保は、それと似ている。ただし、タコは実際に自分の足を食べることがあるものの、それは空腹だからではなく、捕まったりしたストレスが原因だそうだ。結構繊細な生き物なのだ。

哺乳類でも自ら栄養を確保できない時がある!

多細胞生物の場合、脂肪細胞のように栄養を貯蔵する働きを持つ細胞もあって多少の飢餓は耐えられるが、それでもオートファジーによる栄養源の確保は大事である。特に哺乳類では不可欠なときがある。

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