都市に存在する、見えない川「暗渠」と「まちづくり」の驚きの関係性

住み続けられるまちづくりを

街中に唐突に現れる曲がりくねった道や、川がないのに橋があった痕跡のある交差点、車止めのある小さな路地などを見かけたことはないだろうか。それらはもしかすると、「暗渠(あんきょ)」かもしれない。

暗渠はフタをした川のことであり、土地の有効活用のためつくられ、道路として利用されていることが多い。

紀行作家・一級建築士で、『おはなしSDGs 住み続けられるまちづくりを サクラの川とミライの道』の著者・稲葉なおと氏が、身近に流れる川の存在を意識したきっかけとともに、閉ざされた川や世界の川から、SDGsのトピックのひとつである「住み続けられるまちづくり」について解説する。

 

遠くにあるように感じられた「SDGs」

「SDGs目標の11番、『住み続けられるまちづくりを』をテーマに児童小説を書きませんか」

講談社児童図書編集部から依頼をいただいた時に私の頭をよぎったのは、これは難しいな、という思いだった。テーマそのものが難しい上に、それを元に読み応えのある小説にする、しかも子ども向けに創作するなど正直なところ無理でしょうと感じたのだ。

無事にその物語を書き終えた今になって考えてみれば、難しいと感じた一番の理由は、私自身がそのテーマを「難解に」というよりも「遠くに」感じてしまったことにある。

東京都豊洲運河周辺の風景。都市と川は私たちの生活に結びついている(画像はイメージです)Photo by iStock東京都豊洲運河周辺の風景。都市と川は私たちの生活に結びついている(画像はイメージです)Photo by iStock

作家としてデビューする前、私は建築家として様々な建築の設計に携わってきたことから、長く使い続けられ建築を、長く住み続けられる建築をという思いは常に抱いていた。だが「まちづくり」となるとスケールが違う。あまりに規模が大きく、著名な建築家であっても、それを考え、仕事にできている人は極々限られた人になる。

そもそも「SDGs」という言葉がどこか、国をあげての運動というイメージが私の中には定着してしまっていた。何かを書いたとしてもそれで何かが動き出すとはとても思えなかったのだ。

けれども、依頼をくださった担当の編集者と打ち合せを重ねるうちに、いくつかの記憶が甦り、「川と道」というキーワードにたどりついた途端に、「遠くに」思えていたテーマが、不意に「身近に」感じられてきた。

私自身が以前、子どもたちともに川に触れ、その魅力について身をもって知ったからこそ、実態と将来について考え、調べたことを思い出したのだ。

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