2022.01.23
# ドラマ

大ヒット『鎌倉殿の13人』、「鎌倉時代の全体像」をつかむための「最高の方法」があった…!

堀井 憲一郎 プロフィール

源実朝が暗殺されたあと、四代将軍を天皇家から迎えようとして、京都政権(朝廷)と、鎌倉政権(北条政子&義時たち)の緊張が高まる。天皇家の血筋から次期将軍を迎えたいという鎌倉側の要求に、後鳥羽上皇ら京都政権は拒否しつづける(実朝が暗殺されたからである)。そこのところの描写(本書282p)

「朝幕の交渉は難航したが、将軍不在による政情不安は、幕府はもとより、朝廷にとっても望ましくなかった。後鳥羽上皇もいつまでもチキンレースは続けられない」

後鳥羽上皇は折衷案として、天皇家の子息ではなく、摂関家の子息ではどうか、という提案をして、幕府側も受け入れる。

この極度の緊張状態を「チキンレース」と言い放つその言語感覚が私はとても好きである。

後鳥羽上皇の駆け引きの気配がとてもよく伝わってくる。

 

全体像が見えてくる

本書『頼朝と義時』は、源頼朝から北条義時の時代の歴史研究の現状にも触れることができ、当時の全体像がとてもつかみやすい。

個々の説については著者(呉座勇一)だけの提案もあるようだから、すべてに従う必要はないだろうが、しかし、異説や通説もまとめて紹介してそれぞれの成否の可能性を述べ続けてくれるので、じつに読みやすい。

そして、すっきり全体像が見えてくる。

一読して(そのあと評するために三読ほどしたのだが)12世紀後半から13世紀前半の日本の姿がくっきりと見えてきた気分である。

これまで、自分のなかでそこに霞がかかっていることさえ自覚していなかったのだが、それに気づいたことも含めて、本を1冊読むことによって読む前の自分としっかり変わったと言える1冊である。

歴史好きな人すべてに一読をお勧めする。

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