スタッフも三木監督、佛田さん、野口さんをはじめ、これまでも一緒に仕事をしてきたメンバーが多く、特撮造形へのハートがある人たちばかり。ただ怪獣映画を作ればいいとか、なんとなく流れで声をかけられたわけではなく、意味があって呼ばれて、そういう人たちと一緒に課題に対して答えを出す仕事であり、自分にしかできないと思えた大事な仕事でした。

消滅しつつある特撮文化のこれから
――怪獣ファンにとっても意義のある作品になりました。本作への期待も高まっていると思われます。
人生の大半で東宝の怪獣映画に携わってきましたが、今回三木監督と一緒に取り組んだことで、今までみなさんが観てきたものとは違うスタイルの怪獣映画が完成したと思っています。「ゴジラとは違う」ことにこそ意味があります。僕が作ったゴジラを好きだった人たちが、「こういうスタイルもあるんだ」と好意的に観てくれたらうれしいですね。
――デジタル全盛の時代ですが、CGにはない造形の怪獣映画の良さはどこにあるのでしょうか?
それは正直わかりません。ただ、それが怪獣であれキャラクターであれ、人が手で作った造形には、観客の心に通じるものというか、心を打てるような何かが宿るのかもしれません。映画を観た人が、僕たちが作った怪獣に何かを感じてくれたらうれしいです。
――怪獣造形がなくなっていくこの先の怪獣映画をどう思いますか?
造形でもCGでも、観客が心を打たれたり、そのキャラクターを好きになってくれるならば、それで十分だと思うんです。作品自体もビジネスとしても成功するならば、これからも怪獣映画を作る意味があります。ただ映画文化として考えると、いろいろなタイプの怪獣映画があってほしいと思います。