補助で衰退した日本の半導体産業をTSMC誘致で救うことはできない

周回遅れの技術、得するのはソニーだけ
野口 悠紀雄 プロフィール

高性能半導体とは?

半導体の問題はやや複雑だ。ここで簡単に説明しておこう。

現在、最先端の製造技術が要求されているのは、「ロジック半導体」と呼ばれるものだ。これは、計算や制御を担当する半導体だ。PCやスマートフォンなどの頭脳部分になっている。

アップル、NVIDIA、AMDなどのアメリカIT企業は、回路の設計を行ない、製造を「ファウンドリ」(受託製造)と呼ばれる企業に委託する。

ロジック半導体の電力消費を下げ、性能を向上させるために、回路の微細化が進められてきた。これを表すのが、回路の最小線幅だ。それが5nmにまで来ているのである(nmは、10億分の1メートル)。

 

現在のところ、TSMCとサムスンだけが、5nmのロジック半導体を量産することができる。そして、サムスンは、TSMCに先駆けて、3nmプロセスの半導体を製造する計画を立てている。

世界最先端の半導体競争は、このレベルで展開されているのだ。

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