補助で衰退した日本の半導体産業をTSMC誘致で救うことはできない

周回遅れの技術、得するのはソニーだけ
野口 悠紀雄 プロフィール

半導体不足とは?

いま、半導体不足が世界的に深刻な問題になっている。ただし、足りないのは、先端ロジック半導体ではない。不足しているのは、自動車積載用や、PCやルーターなどのネットワーク機器に用いるもので、40nmプロセス程度のものだ。

これらに用いる半導体不足のきっかけは、米中対立の中で、アメリカが、中国のファウンドリーSMICを制裁リストに追加したことだ。このため、アメリカの自動車メーカーは同社からの車載用半導体の調達ができなくなり、その分がTSMCを始めとする台湾のファウンドリに向かった。

 

ところが、TSMCとしては、先端半導体のほうが利益率が高いため、車載半導体への需要に応えることができない。

それに加え、日本の車載用半導体の大手メーカーであるルネサスエレクトロニクスの工場で火災が発生した。そして、サプライチェーンが、コロナの感染拡大で混乱した。こうしたことの結果、委託企業が実需以上の発注をするようになり、不足に拍車をかけたのだ。

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