ジャカルタからジャングルへ…インドネシア「首都移転狂騒曲」に潜む現実的な問題点

大塚 智彦 プロフィール

次期大統領の重要な「踏み絵」に

新首都建設構想を発表し、積極的にこの国家的大プロジェクトを推進している政権2期目のジョコ・ウィドド大統領だが、その任期は2024年までであり、規定により3期目には立候補できない。

このため2024年の大統領選で選ばれる新大統領がこの遷都構想を継承するのか、一部移転に変更するのか、はたまた中断するのかが今後の焦点となる。

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現在ジャカルタでは中心部で都市高速鉄道(MRT)の延伸工事が進んでいる。このほかにも軽量高架鉄道(LRT)や近郊の工業団地を結ぶ高速道路の改良、そして日本を袖にして中国が受注して建設が進むジャカルタ~バンドンの高速鉄道、国内線が主体のハリム空港の改修工事など大規模インフラ整備が進行中である。

 

こうした現状から首都移転には「ジャカルタの都市機能拡充との整合性がない」「地盤沈下や海面上昇、洪水、渋滞などジャカルタが直面する諸問題の解決から逃げようとしている」などの批判が起きていることも事実だ。

次期大統領選挙に名前が取りざたされている人物の中には、ジャカルタ首都圏でもある西ジャワ州のリドワン・カミル知事や、首都ジャカルタ特別州のアニス・バスウェダン州知事も含まれている。

これまで「地元」として開発や整備に尽力してきた首都や首都圏から新首都建設にシフトすることができるのか、有権者がそれを許すのか、などを含め次期大統領にとって首都移転問題は一つの「踏み絵」になるのは間違いない。

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