2022.02.06
# 政治政策

文通費、議員の給与…「議員特典」の議論で見逃されがちな“本当の問題”

歴史的・比較法的な観点から

国会議員に対して、給与とは別に月々100万円が支払われている、いわゆる「文通費(文書通信交通滞在費)」。日本維新の会が、この費用のあり方について問題を提起したことが注目を集めています。

文通費をはじめ、議員歳費(=議員の給与)や不逮捕特権、発言免責特権など、議員に認められた身分上の利益を「議員特典」と言います。「文通費は高すぎるんじゃないか」といったシンプルな構図で語られがちな議員特典の問題ですが、じつは、国民の政治過程へのアクセシビリティに関する、重要な論点を含んでいます。

九州大学教授で憲法学が専門の赤坂幸一さんが、歴史的・比較法的な観点から解説します。

「議員特典」とは何か

議員特典とは、議員がその職責を十分に果たすことができるように認められる、国民一般にはない身分上の利益のことで、立憲主義諸国ではほぼ共通の内容をそなえています。わが国では、憲法上はわずか3か条の簡素な規定が置かれるだけで(49条(歳費受領権)、50条(不逮捕特権)、51条(免責特権))、これを、国会法や歳費法といった各種法令が具体化しています。

議員特典は「国民一般にはない身分上の利益」であることから、ときに特権視され、批判の対象にもなります。まさしく本稿執筆時点でも、文書通信交通滞在費(文通費)の使途や使用実態の公開が、与野党の政治的争点として浮上しています。

〔PHOTO〕iStock
 

しかし、十分な議員活動を行うために必要な経費なのであれば、議員歳費であれ文通費であれ、また立法事務費であれ政党助成金であれ、適正額が国庫から支給されるべきであって、それがわが国の国益にもかないます。

問題は、それが本当に十分な議員活動を行うために必要な経費なのか否か、それを判断するための着眼点ないし眼差しです。本稿では、諸外国の憲法制度と比較しつつ、「開かれた政治過程の確保」という視点から、議員歳費と文通費の問題を眺めてみましょう。

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