2022.02.11
# トヨタ

ここにきて、トヨタの「劣化」がはじまった…!「エース社員」退社のウラで起こっていること

井上 久男 プロフィール

かつてのトヨタの人事制度を振り返ると、うまく時代の流れを先取りする一方で、世間受けを狙った机上の空論的な制度は決して作らなかった。

たとえば大企業の中ではいち早く'89年から組織のフラット化を進め、課長の名称を「スタッフリーダー」と改称。管理職面するのではなく、スタッフ的に自ら率先して動くことを求めた。

'96年には、年功色を払拭するため「チャレンジプログラム」と呼ばれる成果主義的な人事制度を導入した。高品質な製品を低コストで大量生産するだけでは勝てない時代がいずれ来ることを、当時から予見していたのだ。

さらに'99年には「グローバル21」と呼ばれる人事制度を導入。国内の次長級以上の幹部と海外子会社の外国人幹部を共通プログラムで育成し、国籍を問わない人材起用を進めた。20年以上前にこうした制度を採用すること自体が画期的だった。

 

しかし、今のトヨタの人事部門は、戦略的に動いていると言えるのか。パフォーマンス上手で章男社長の意向を忖度する幹部が跋扈し、会社の置かれた環境や将来を見通した人事制度が構築できているとは言えないと筆者は感じる。

トヨタの人事部門は、「今も環境の変化に対応するため、新制度を導入している」と反論するかもしれない。事実、トヨタは'19年1月に人事制度を大きく変えている。

改定前は、トヨタの管理職は基幹職3級(課長相当)、基幹職2級(次長相当)、基幹職1級(部長)に区分され、1級の次は常務役員や常務理事へ昇格していた。それを2級・1級・常務理事・常務役員を一括りにし、「幹部職」に改称したのだ。

狙いは、出世の階段を減らすことで有能な若手を抜擢しやすくするためだ。基幹職の昇格の梯子を一段上るには4〜5年ほどかかる。30代後半で3級に昇格してから常務役員までには3つの梯子を上るため、常務役員就任は50代前半というパターンが多かったが、この梯子を取り払った。

'20年には、「人間力」を査定に盛り込んだことが社内外で注目された。「自分以外のだれかのために頑張る」「自分はできていないと理解し、学ぼう、成長しようと努力し続ける」などの項目を達成できているかどうか、上長が評価する。

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