「いじめる側の病理」のケアがされている国

一方で、久能が主張した、いじめている側に病理があるとして、隔離させてカウンセリングを受けさせて癒すことを行っている国があるのは事実だ。

例えば、フランス。ソーシャルアクションラボというサイトの『こどもをまもる「いじめ」編』に、同国在住で現地校に息子さんを通わせるライターの高崎順子さん(高崎の高は本来ははしご高)が寄稿した『フランス流「いじめ行為をなくす」方法』に詳しく書かれている。

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高崎さんは、息子さんが幼稚園児時代、ほかの園児に暴力をふるったということで園に呼び出される。園長と話し合った結果、「小児精神科医のカウンセリングを受けましょう」と言われるのだ。まだ3歳ですよ? と驚く彼女に、延長は断固とした口調で言った。
子どもが暴力的になるには、必ず原因がある。それは家庭の事情とは限らず、医学的な要因かもしれない。それがわかれば、私たちもふさわしい対応ができる

診断結果は「一時的な精神不安」。弟の誕生もあり不安定になっていたという。高崎さんは「子どもと過ごす時間を増やし、その時間が穏やかであるよう意識してほしいと指導された」と綴っている。その後、落ち着いたという。その後も問題があれば、学校と相談し外部の専門家の力を借りたそうだ。このような考え方は米国も同様で、州によって違いはあるものの、いじめ加害者に共感トレーニングや怒りのコントロールのカウンセリングを課すと聞く。

暴力をふるってしまう子や、いじめ加害者を放置はしない。する側こそなにか問題を抱え、ケアを必要としているからだ Photo by iStock

フランスだけではなく、カナダなども「加害側」への対策を公表している。このようにフランスや米国ほどのシステムは構築されていないが、加害児童や生徒にカウンセラーが話を聴く環境はある。以前取材したスクールカウンセラーは女子中学生との相談で、こんな話をされた。
「どうしていじめちゃいけないの? と正直思う。いじめをやめると、次は自分がいじめられるかもしれない。自分がどうなるか不安なんだよ」