弱いものにしわよせがいっている

人の気持ちがわからず、共感性が欠如していた。他者とのかかわりに課題を抱えていた。よって、家庭でのかかわりも見直しながら精神医療にかかわったほうが良いとスクールカウンセラーが判断しても、その後の取り組みは放置されることのほうが多い。保護者への説明、医療へのコーディネートなどを、過重労働が問題になっている教員にすべて押し付けられない。したがって、そこから先がスムーズにいかないように見える。

その結果、弱い者たちにしわ寄せが行く。文部科学省が発表した2020年度の全国調査によると、小中学校での不登校児童・生徒数は12年度から8年連続で増加し、20年度は19万6127人と過去最多となった。

このなかに、いじめによって学校にいけない子どもは少なくないだろう。学校での子どものいじめは古くから大きな社会課題のひとつだった。1986年に起きた「葬式ごっこ事件」と呼ばれた中野富士見中学いじめ自殺事件、2011年の大津市中2いじめ自殺事件と多くの犠牲を払ってきた。その後も、上述したように2006年から2007年にかけていじめ自殺が増え、いじめ自殺予告まで起きた。

いじめられる子ではなく、いじめる子が治療などのケアを必要とする存在のはずだ Photo by iStock
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その後も、いじめ事件は引きも切らない。
2021年3月に発覚した「旭川14歳少女いじめ凍死事件」では、被害少女の家族から依頼された弁護士が加害生徒の聞き取りをしようとした際、教頭が「校内で起きたことではないので学校としては責任は負えない。加害生徒にも未来がある」などと言って阻止した。被害少女は「どうして先生はいじめたほうの味方にはなって、私の味方にはなってくれないの」と泣いたと報じられている(文春オンライン/2021年4月18日)。

社会が学べば、何かが良い方向に変わる。つまり、私たちの社会は、すでに40年近くも過去から何も学んでいないのだ。
日本もフランスのように、「いじめる側」の病理をきちんとケアする体制を整えるべきだろう。

ドラマを見て思わず現在出ている10巻までを大人買いしたという島沢さん。『ミステリと言う勿れ』の整くんの言葉には、いじめだけではない、様々な問題の本質が見える。本質が見え、現在を修正する必要があるのなら、修正すればいいのだ 写真提供/島沢優子
島沢優子さん連載「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」これまでの記事はこちら