仏教寺院の前で目が合った少年

ラオス人の大部分は仏教徒(上座部仏教)であり、ルアンパバーンはこの国で最も信仰心の厚い街として知られ、多くの寺院がある

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私はメコン川付近に宿泊していたが、宿の並びにある仏教寺院を通り過ぎると10歳くらいの少年と目が合った。頭は丸刈り、キリっとした澄んだ瞳が私を捉えて離さなかった。

私は少年の眼差しに釘付けになったまま歩き続けたので、途中に生えていた木に激突。少年は思い切り歯を見せてニコッと笑ったかと思うと、照れくさそうに長い廊下を駆けて行き、見えなくなってしまった。

翌朝……といっても、3時45分頃にドーンドーンと太鼓の音がしたかと思うと、続けて鐘がカーンカーンと鳴り響く。とんでもなく早い時間に僧侶たちは起床するようだ。そして、夜明け前の朝5時半頃には僧侶が一斉に列をなして托鉢(僧尼が信者の家々を巡り、食物や金銭を鉢に受けて回ること)を始める。

いくつもの寺院から鮮やかな黄衣をまとい、裸足で歩く僧侶たちの姿は圧巻だ。托鉢の最中は車が通行止めになり、世界各国から訪れた観光客が静かにその光景を見守っている。

ルアンパバーンの早朝托鉢の様子。写真提供/歩りえこ

一番位の高い僧侶から順番に歩いていき、後方には10歳未満の小さな少年もいる。街の住民たちは洗面器や竹で編んだ籠にモチ米などを入れており、僧侶たちの食事はすべてこの朝の托鉢で成り立っているという。

街の住民たちの托鉢だけでなく、観光客の托鉢も僧侶の生活の支えとなっているため、私も托鉢用のモチ米セットを買って参加してみた。まだ薄暗い中、眠い目を擦りながら路上で待っていると、寺院ごとに僧侶たちが一斉に歩いてくる。

僧侶たちが持つ鉄鉢に少しずつモチ米を入れていくと、私は思わず「あっ!」と声をあげそうになってしまい、静寂の中でその声を思わず飲み込んだ。紛れもなく、昨日目が合ったあの子だ

少年は私に気が付くと同じように「あっ!」という表情になるものの、昨日とは打って変わってニコリともせず、じーっと私の顔を真剣な眼差しで見つめている。私は慌ててモチ米を少年の鉄鉢に入れると、同じく真剣な表情で彼の後ろ姿を見送った。

住民たちは僧侶たちが持つ鉄鉢に少しずつモチ米などの食料を入れていく。写真提供/歩りえこ