厳しい戒律を守って生きる道

全ての寺院の托鉢が終わると、宿に戻って二度寝をした。早起きは最もしんどいことの一つだと思っている私にとって、理由は分からないが、あの10歳前後の少年が厳しい戒律を守って僧侶として生活をしていることに驚きを隠せなかった

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食事は一日2回まで、好きなものを食べることももちろんできない。チョコレートパフェの味を知ることのないまま成長し、大人になってもアルコールが一切飲めないし、結婚して妻を持つこともできない。とても厳しい戒律を守って生きる道を、こんなに小さな少年が選択しているのだ。

目覚ましなしで二度寝から目が覚めると、時計はもう昼の12時を回っていた。うわ! 何でこんなに寝てるの? と驚いた。旅による移動と緊張の連続で疲労が溜まっていたものの、朝3時45分に起きて生活をしているあの少年を思い浮かんで自分が恥ずかしくなった。

ぐぅ~。お腹が空いたな……。宿の受付に行くと、無料で提供される朝食は10時までで終わっていた。本当にダメだな、私。空腹すぎてシャワーを浴びる気力もなく、とりあえず非常時用に常備していた乾パンを食べることにした。

すると、急激に糖分が回り、クラクラしてまたベッドに横になる……。そのままウトウトしてしまい、時刻は13時になろうとしていた。今日、まだ何一つ成し遂げていない自分が妙に腹立たしくなった。着の身着のままでこんな怠惰な人生を生きていて良いのだろうか、と。

ルアンパバーンではこんな風に僧侶が街を普通に歩いている。写真提供/歩りえこ

少年の澄んだ瞳を思い出しながら、自分の頬をパンパンと叩いてベッドから飛び起き、その勢いのままシャワーを浴び、髪を乾かして宿の外へと出た。炎天下の中で朝食を買いに売店へ向かう道中、また寺院を通り過ぎる。

「あっ!」

あの少年が廊下に座っているのが見えた。少年は私を見つけて立ち上がるとニコッと笑い、手を振った。「(お姉ちゃん、やっと起きたの?)」。会話できない距離感だし、きっと言語も通じないだろうけど、きっとそんなことを思っているかもしれない。少年は掃除や勉強など一通り終えてのんびりとしている時間なのだろうか。

その日から毎日私は食事や買い物、観光に出かけるたびにその寺院を通り過ぎ、少年と目が合うたびに手を振り合うようになった。そして朝の托鉢では無言で少年の鉄鉢に僅かばかりのモチ米を入れた。