起こり得る日本男子フィギュアを支える3人の個性と精神力

金メダルはネイサン・チェン選手(完璧ともいえる素晴らしい演技だった!)だったが、銀、銅、そして4位と、3人の日本人選手が占めた北京五輪。フィギュア男子シングルの中で、日本人選手がいかに鉄板であるかを証明した大会ともなった。もちろん、ここに至るまでには、長く日本のフィギュア男子を支えてきた高橋大輔選手、織田信成選手、その前世代の本田武史選手をはじめとする様々な選手たちの存在あってこそだ。

 

今大会の男子フィギュアを牽引するこの3人。
「ジャンプの仕方、細かな表現力、本当に違うんですよね。細かなところをチェックすればするほどおもしろいし、素晴らしいと思う点が多い。そして、メンタルマネージメントもそれぞれ異なります。発言、自己表現といった部分だけでなく、危機に直面した対応にもそれぞれの良さが出ていると感じます。私は精神科医なので、どうしてもその部分を深く考察してしまいがちなのですが(笑)。そして、こういった才能を持つ選手が、羽生選手、宇野選手、鍵山選手と年齢差で次々出てくるところが日本のフィギュアの強さだと思うのです」

というのは、米国小児精神科医でハーバード大学医学部アシスタントプロフェッサー、マサチューセッツ総合病院小児うつ病センター長の内田舞医師だ。内田医師自身も高校時代までフィギュアスケートをやっていて、鍵山選手の元振付師である佐藤操氏に指導を受けていた経験を持っている。

北京五輪前の2021年12月末に開催された第90回全日本フィギュアスケート選手権では、1位羽生選手、2位宇野選手、3位鍵山選手という結果に。photo/Getty Images

そんな内田医師がフリー終了直後に、羽生選手のメンタルの強さについて精神医学と絡め解説した記事が共感を集めた。内田医師は「1回の記事ではとてもではないが語り尽くせない」と第二弾を寄稿。前編を羽生選手編、後編を宇野選手・鍵山選手編としてお届けする。まずは、前編では前回の記事で書ききれなかった羽生選手のもうひとつのキーワード『オーナーシップ(Ownership)』に着目する。

以下より、内田医師の寄稿です。