宇野昌磨選手の「自分を見て!」の強さの魅力

フィギュアの演技を言葉で表現するのはとても難しいのですが、ジャンプひとつとっても選手ごとに違いがあります。例えば、羽生選手のジャンプは、無理な力みがなくシュッと跳んでシュッと降りる感覚です。それに対して、宇野昌磨選手のジャンプは音が違います。ビュッと跳んでビュッと降りるワイルドさがあります。

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また、宇野選手の表現は、誰から習ったものではない、彼の中から自然と湧いてきているものだということが見ているとよくわかります。音に乗せて体を動かしているのではなく、まるで身体から音楽が流れているかのような印象を感じるのも宇野選手ならではの魅力です。

さらに、私が宇野選手を観ていて、もっとも素晴らしいと感じるのは、「自分を見て!」というエネルギーの高さです。日本では、文化的側面からなのか正面切って「私を見て!」という表現を敬遠する空気があります。自己表現のパフォーマンスが必要な競技でも、日本人選手は表現面でうまく観客に向けて発するエネルギーが届かないという評価をされることが多かったのです。

エネルギッシュで、視線を集める吸引力がある演技が特徴の宇野選手。今回もダイナミックな演技が素晴らしかった。photo/Getty images

しかし、そんな文化の中で育ったにも関わらず、自分を魅せずにはいられず、表現力溢れる選手もたまに現れます。その代表が、高橋大輔選手、そして宇野昌磨選手です。宇野選手の表現は無理に取って付けて習得したものではなく、心の底から湧き出る真意のこもった表現であることが多いと感じてます。宇野選手の演技は、英語だと『Sincere(誠実)』という言葉が一番マッチすると思いますが、彼のどんなときでも自分に忠実で誠意的な思いや表現は、見る側を裏切りません。