「今」を大切にする鍵山優真選手のマインド

鍵山選手の強さは、長けたスケーティング技術から来るスピードと滑らかな4回転ジャンプ、そして膝と足首の柔らかさを使ってきれいに伸びる着地です。また、本人が「心臓飛び出るかと思った」と発言するプレッシャーがかかった緊張の場面でも、ひとつひとつの要素に集中して、確実にこなしていく力です。

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心理学で『Be in the present:現在を生きる』や『Here and Now:今、ここ』というフレーズが使われることがあります。これは、前に起きたことに関して執着したり、次に起こることに関して不安を持ったりするのではなく、今目の前にある「現在」を生きる、という意味です。

鍵山選手の精神的な強さは、まさにこれで、次の要素にこだわるのではなく、今集中しなければならないタスクをひとつひとつ咀嚼しているように感じます。今回も初出場の五輪で、団体戦を含めて隔日で3つものプログラムを滑らなければならない超ハードスケジュールだったにも関わらず、銀メダルを2つ手にしました。

メダル獲得後は取材ラッシュで寝る時間もなく、取材内容の質問の多くは次の挑戦に関してばかりで、今得たばかりの自分の功績の偉大さを自分で「やった!」と思う時間もなかなかなかったかもしれません。もちろん彼はまだまだ伸びしろがあり、これからの男子シングルスケート界を牽引してほしい期待も担っています。その期待はファンや連盟だけでなく、もちろん本人も自分に課していると思いますし、そのためにこれから環境が変わることもあるでしょうし、様々な方向からのアプローチや新たなプレッシャーもあると予想します。

ですが、今はとにかく『be in the present』『Here and Now』で、未来のことは考えずに、ただただ今大会成し遂げたことを喜んでほしいです。
鍵山選手、銀メダルおめでとうございます!

今に精一杯立ち向かう鍵山選手の姿にも心からエールを送りたい。photo/Getty Images