2022.02.15
# ライフ

日本人が、料理の「出汁」にここまでこだわるようになった背景

敬遠されながらも、実は浸透している?

出汁への抵抗感が強まっている?

煮物、鍋物、味噌汁など、冬は出汁(だし)を使った料理の出番が多くなる。出汁はコメのご飯と共に、和食に不可欠な要素と紹介されるアイテムだ。

テレビで出汁が紹介されるときはたいてい、たっぷり水を張った大きな鍋の底に何枚もの昆布が沈んだ様子が映される。火をつけ、湧いてきたら昆布を引き上げ、大量の鰹節を入れ、しばらくしたら引き上げる。すると黄金色の美しい出汁が表れる。それを作っているのは、料亭料理人。

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これが正しい和食の料理法、と言われると、違和感が残るのは私だけだろうか? 使う昆布や鰹節の量が多過ぎないだろうか? 解説するのが料理人でいいのだろうか? さまざまな疑問が浮かぶ。

料亭料理は京都の伝統的な高級料理なので、汁物に限らず、炊き合わせその他さまざまな料理の味のベースが出汁になる。飲食店の料理は、印象的にするために濃い目の味付けをする必要もある。出汁をベースにすれば、素材の味が際立ち、醤油などの調味料の味ものりやすくなる。しかし、家庭では別のやり方が必要ではないだろうか?

家庭で素材から出汁を引いて料理する人は、少なくなっているのではないだろうか? 総務省の家計調査でつゆ・たれの消費金額は1994年に、醤油を追い越して差が開く一方だ。最近は、めんつゆで味付けするレシピもとても多い。人気漫画の『きのう何食べた?』(よしながふみ、講談社)でも、料理上手の主人公はほぼ出汁を引かずめんつゆを駆使する。

出汁への抵抗感が高まったことを反映し、最近は出汁にこだわらないよう提案する料理家が増えている。次々とヒットレシピ本を出すスープ作家の有賀薫さんが提案するレシピで目立つのは、肉や魚介類を入れる、アスパラガスやコーン、トマトなどうまみの強い素材を使い、出汁いらずにしたスープである。

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