「反中国」ムードを強めるフランスが、「アジア太平洋進出」を画策している事情

4つの視点から読み解く

近年、米英豪の艦隊や潜水艦だけでなく、フランス軍・ドイツ軍の艦隊までもが、「中国の封じ込め」とアジアにおけるプレゼンスの誇示を目的として、南シナ海や東シナ海に集結してきている。この様子は、およそ170年前、東インド艦隊司令官ペリーが「文明化」を旗頭に軍事的手段で開国を迫った時代を彷彿とさせる。

しかし今や幕末から170年が経ち、逆にアジアが、経済、IT/AI、国民の勤勉さ、発展と繁栄で欧米を凌ぎつつある時代だ。「インド太平洋」の安全と「自由航行」を掲げて遠くからやってきた欧米各国が、中国を封じ込めようとするのは、時代錯誤ではないだろうか。

一体その背景には何があるのか? 以下、1)フランスの軍事的位置、2)EU内での主導権争い、3)フランスの植民地事情、4)フランス大統領選挙、という4つの観点から分析したい。

 

アジアにおけるフランスの軍事的位置

2021年秋、米英豪の軍事的結束を背景に、オーストラリアはもともと予定していたフランスのディーゼル潜水艦ではなく、アメリカの原子力潜水艦を購入することを告知なく決定した。激怒したフランスは、これに対し在米、在豪のフランス大使を召還し、国連でのバイデンの挨拶に首相が欠席するという外交上最大限の抗議に出た。

そもそもフランスは、欧州最大の核軍事大国であり、世界第3位の武器輸出国である(表を参照、イギリスは軍事力でも武器輸出でもすでに韓国よりも小さい)。

そのためフランスは、オーストラリアの決定には強い反発を見せ、一方ではその存在感を米豪に示しつつ、他方では中国封じ込めを目指す米英豪の「価値の同盟」に加わり、南東アジアでより大きな武器輸出の好機を狙っていると見られる。

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