核になる技術を持っていたことで躓いた
キヤノンもニコンも核になる技術、つまり「レンズ」を持っていた。それに対してASMLは、部品については、核になる技術を持っていない。レンズすらも外注しているのだ。他社が作っているものを、ただ寄せ集めているだけのようにさえ見える。
しかし、それにもかかわらず、売上の3割という利益を稼ぎ出すことができるのだ。このことは、ビジネスモデルに関する従来の考えに反するものだろう。
いままでは、企業は核になる技術を持っていなければならず、その価値を発揮できるようなビジネスモデルを開発することが重要だと言われてきた。しかし、ASMLは、このルールには当てはまらない。
部品について、ASMLは製造者ではなく購入者であったため、品質評価が客観的であったと言われる。
また、多くの技術を他社に依存する必要があったため、他社と信頼関係を築く必要があった。そして、顧客であるTSMCやサムスン、インテルなどと連携して、技術と知識が蓄積された。それが成功につながったと言われる。
それに対して、技術力が高いニコンは、他社と協業するという意識が低かった。それが開発スピードを低下させ、開発コスト負担増を招いたというのだ。