もしデジタルカメラを生産しなかったら
日本企業敗退の原因は、自社主義だけではない。 もう一つは、ビジネスモデル選択の誤りだ。つまり、カメラという消費財に注力したことだ。
もし、2000年代の初めに、キヤノンやニコンがデジタルカメラに注力するのでなく、半導体製造装置に注力していたら、世界は大きく変っていただろう。
2010年頃、日本では、円高などが6重苦になっているといわれた。そして、「ボリュームゾーン」を目指した戦略を展開すべきだと言われた。これは、勃興してくる新興国の中間層をターゲットに、安価な製品を大量に供給しようというものだ。ASMLとは正反対のビジネスモデルだ。
そして、日本ではこの方向が受入れられ、企業の経営者もそれを目指した。その結果が、いまの日本の惨状なのだ。
もちろん、将来がどうなるかは分からない。半導体の微細化をさらに進めるために、3次元の回路を作るということも考えられている。そうした技術が実用化された時に、はたしてASMLが生き残れるかどうかは、誰にも分からない。
日本企業が再逆転してほしいが、果たしてできるだろうか? 奇跡が起こることを祈る他はない。