久々に帰った実家が荒れ果てて、母親も変わっていたらどうするか。
「うちは、
母、80歳、認知症。
姉、47歳、ダウン症。
父、81歳、酔っ払い。
ついでに私は元SMの一発屋の女芸人。45歳。独身、行き遅れ。
全員ポンコツである」
こんなドキッとする書き出しで始まったにしおかすみこさん連載「ポンコツ一家」。2021年9月より毎月20日更新で連載している。
にしおかさんがコロナ禍の影響で実家に帰った時、そこで目にしたのは足元がジャリジャリする実家と、明らかに変わった母の姿だった。実家での同居を決意したにしおかさんは、元看護士の母が、野菜を腐らせたり、自分のことを麻薬中毒者だと思い込んだりする様子に直面する。とにかく介護の支援を得るには認知症の認定を受けなければならないが、病院に連れて行くのも一苦労だった。
そうして同居が始まって初の大晦日には、掃除のときにちょっとした事件があり、おもわずにしおかさんは家を飛び出してしまった。帰ってきたにしおかさんを待っていたのは、記憶が飛ぶことを認識している母親からの手紙だった。
率直に認知症と家族のことを伝える連載6回目は、「事件」から数日たって母親の病院に行くときの話からお送りする。
にしおかすみこ『ポンコツ一家』が書籍にまとまることになりました!13回までの連載を加筆修正の上、書き下ろし5編が加えられています。2023年1月18日発売!購入後、帯袖についているQRコードから感想をお送りくださった方の中から抽選で100名様に、人気イラストレーター・西淑さんによる「ポンコツ一家オリジナルマトリョーシカしおり」もプレゼント!
玄関のドアを開けると…
2021年1月年明け。朝9時過ぎ。
玄関のドアを開けると外に電動自転車のバッテリーが落ちている。

私の肩越しにひょいと母も顔を覗かせる。
「何? あーはいはい、それね。最近の宅配はそういう感じになったらしいよ、なんて言ったか」
「置き配?」
「それ」