ふと思う…

ふと思う。
あの時の母はもう認知症を発症していたのだろうか。いやまだか。
私はコロナ禍で母の異変に気づいたのだが、急にはならない。
わからない。わかったところでだ。

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ちなみに身元引受人は当時の担当マネージャーさんにお願いした。
「えー俺? やだよー、おまえ死んだら真っ先に俺に連絡来るんだろ、こえーよー」と。

死なないよ。

「他にいないのー? 誰か男騙してさ、即席で結婚してサインしてもらえよー」

ろくでもない人に命を預けている気がする。
母といい私の周りはこんなのばっかりか。
なんだかんだ言いながら書面に必要事項を書いてくれた。見れば見るほど字が汚い。

「ねえ、お願いして何だけどさ、もうちょっと丁寧に書いてよ」

「え?! これ? 俺、死ぬほど全力で書いてるよ。これ以上ないよ」

ミミズがのたくった様な……いや、心電図の脈みたいな、かなり乱れた不整脈の様な。縁起の悪そうな字だ。

「まじか。死ぬほど汚いな」と言ったら、

「だから~死ぬ死ぬ言うなよー、こえーよー」

……感謝だ。

ガラスのハートのマネージャーさん、執刀してくださった先生、看護師さん、友人のおかげで手術も無事終わった。優しさとありがたさが骨身に染みた。