アルツハイマー、パーキンソン…生涯使い続ける神経細胞を守るオートファジー

蓄積した毒性タンパク質を除去

遺伝子疾患と責任遺伝子

PRKNは誰でも持っている遺伝子で、この遺伝子を持っているからといってパーキンソン病になるわけではないことには、注意が必要である。パーキンソン病になるのは、変異が起きたPRKNを持っている場合だ。パーキンソン病におけるPRKNのように、変異が起きると特定の疾患を引き起こす遺伝子を、その疾患の「責任遺伝子」あるいは「原因遺伝子」と呼ぶ。

「がん遺伝子」という言葉があるが、よい言い方ではないと思っている。がん遺伝子というと、がんを発症させる遺伝子があるように思えるが、そうではない。誰でも持っている遺伝子で、その遺伝子に変異が起きると、がんを発症する。がん遺伝子と呼んでいるのは、変異を起こした遺伝子である。

専門的には、変異が起きていないもとの遺伝子を「がん原遺伝子」と呼んで区別している。一般向けには、「がんの責任遺伝子」という言い方が適切だろう。

「遺伝子疾患」も誤解されていることが多い。遺伝子疾患とは、遺伝子の変異が原因で発症する疾患の総称である。遺伝という言葉のためか、遺伝子疾患はすべて親から子へ遺伝すると思われがちだが、遺伝しないものもある。

また遺伝子の変異が原因で発症すると言っても、1個の遺伝子の変異によって発症するもの、複数の遺伝子の変異によって発症するもの、環境要因と組み合わさって発症するものと、さまざまだ。

そして最近では、遺伝子疾患とされていないものも含めて、非常に多くの疾患で発症に遺伝子の変異が関わっていることが明らかになっている。疾患の原因は、非常に複雑で様々な要因がからまっている。そうしたなかで、細胞レベルのバランスをとっているしくみがオートファジーである。

オートファジーと疾患との関わりや、その対抗する働きについては、ブルーバックスの『生命を守るしくみ オートファジー』で詳説した。ご興味ある方は、ぜひご一読いただきたい。

生命を守るしくみ オートファジー —— 老化、寿命、病気を左右する精巧なメカニズム

吉森 保  著

ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典氏と共にオートファジーの研究に携わり、この分野の第一人者としてさらにオートファジーの役割やさまざまな病気や老化などとの関連を解明し続けている著者が、この細胞の驚きのメカニズムを詳しく解説。

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