それほどNHKがタモリに気を遣う理由は他にもある。タモリと共演することで、お茶の間の好感度が上がるだけではなく、アナウンサーとしての実力も身につくからだ。
「タモリさんは収録後に反省会を行いません。だから共演者は『どうすればよかったのか』と自主的に考えるようになる。ここで新たな才能を開花させることもあります。あの加賀美幸子アナも、昭和50年代にタモリさんと共演したときのユニークなかけ合いが評価されて全国区となりました。
一緒に仕事をするだけで好感度が上がるだけではなく、アナウンサーとしての実力もつく。こんな大御所は他にいません」(元・日テレプロデューサーの吉川圭三氏)
NHKにとって、こんなにありがたい話はない。期待の新人は、福岡放送局に赴任させてから『ブラタモリ』の担当にすれば、看板アナへと成長するからだ。タモリには、出演ギャラ以外にも「育成料」を払ったほうがいいのかもしれない。
『週刊現代』2022年3月5日号より