ジャンル、年齢、国籍不問への不安
思わぬ批判の声を受けている1つ目の理由は、発表された募集内容のアバウトさ。公式ページのトップには、「世界に勝負を挑む」「全く新しい概念のボーイズグループオーディション」と掲げられ、この段階からざっくりとしたムードを感じさせる。
さらに続くYOSHIKIのコメントは、「誕生するのはダンスグループかもしれないしHIPHOPかもしれない。奇抜でなくてもいい、ファッショナブルでエッジのきいた『ジャンルレスのグループ』です」だった。しかも、ジャンル、年齢、国籍は不問。つまり、「何でもあり」というスタンスで募集し、集まった参加者を見てどんなグループにするのか考えるというオーディションになるのだろう。
大物のプロデュースとはいえ、「歌、ラップ、ダンス、楽器、さらに使用言語、ビジュアルのイメージすらまったくわからない」というオーディションは、応募者たちにとってチャンスであるとともにリスキーでもある。
たとえば2月28日でネットエントリーが終了したばかりの「Nizi Project Season2」は、前回でJ.Y.Parkの目指すグループイメージがつかみやすい上に、「2023年3月中学校卒業予定の男性~各地オーディション〆切時点において満23歳までの男性」「国籍不問 ※少しでも日本語でコミュニケーションが取れる方」「特定の芸能事務所やレコード会社、音楽出版社などに所属がない方」などの条件が書かれているため応募しやすい。

オーディション自体はYOSHIKIのネームバリューに加えて、日テレが『スッキリ』『行列のできる相談所』で繰り返しフィーチャーすることで盛り上がるだろう。YOSHIKIが『芸能人格付けチェック!』(朝日放送・テレビ朝日系)の出演時と同じように「本物を見抜く目」や「本質をとらえたコメント」を見せるだけでエンタメ度は上がるはずだ。
また、Huluでの完全版に加えて、YouTubeでの無料配信も期待できるし、もしかしたら「Nizi Project」や「Who is Princess?」のように、深夜番組も放送するかもしれない。
日テレとしても、構成、PR、収益化などのノウハウがあるだけに、もし盛り上がらなければすぐにテコ入れされるだろう。
ただそれでも、アバウトな募集内容に「大物の感覚に頼る」というビジョンの薄さが表れている感は否めない。そんな不安要素を「大物だから」という理由で信じて応募するのか。
2次選考に進めば、良くも悪くも名前と顔が全国に映され、「他のオーディションに参加できない」というケースが発生するかもしれない。「YOSHIKIのファン」「デビューできれば何でもOK」という人以外にとっては考えてしまうところがありそうだ。